准胝法の伝播 ④
豪潮律師が伝授したと判明しているもので、現在も残っている著作類や同時代の資料には以下のようなものがあり、その内容から江戸時代に中国密教の「唐密」が日本に正確に伝えられていたことが分かる。
· 『準提懺摩法 全』
豪潮 監修、江戸・喜福寺藏版、文政2年(1819年)
· 『佛母準提供私記』
豪潮 伝授、尾州・三密場蔵版、京都・貝葉書院、文政9年(1826年)
· 『佛母准提尊獨部秘法』(準提法伝授之証)
豪潮 筆刻
· 『佛母准提尊』(図版)
豪潮 筆刻・印施
· 『準提法口訣』
豪潮 秘伝
· 『準提心要』
慧雲 校訂、寛永2年(1625年)
· 『準提菩薩念誦霊験記』
亮海 著、寛延(かんえん)2年(1749年)
· 『準提観音霊験記図会』
· 『準提観音像守護札』(図版)
大訥愚禅(だいとつぐぜん) 賛文・筆刻
江戸・駒込吉祥寺蔵版、文久(ぶんきゅう)3年(1863年)
· 『準提心要』
尭挺 著、享保14年(1729年)
真言宗小野派三宝院流などでは観音に分類され、同流派の醍醐寺上醍醐准胝堂(西国三十三所第11番札所)の本尊は准胝観音である。一方、天台宗系では「准胝仏母」と呼称。実際現在の胎蔵界曼荼羅でも蓮華院(観音院)には含まれず、遍智院において仏眼仏母と並んで配される。