執金剛神
執金剛神(しゅこんごうしん、しゅうこんごうしん、しつこんごうしん)は、金剛手、持金剛とも称される、仏教の語法善神である。金剛杵を執って仏法を守護するため、この名がある。
金剛杵は、仏の智慧が煩悩を打破する武器であることを象徴している。
金剛力士と同じだが、金剛力士は密迹・那羅延の2人の裸形姿であるのに対し、執金剛神は1人の武将姿として造形安置されるのが一般的である。また金剛力士(仁王)と起源を同一とする考え方もある。
インドではヴァジュラパーニ(Vajrapāṇi)と呼ばれ、造形的には半裸形で表現されている。中国・日本では、忿怒相で身体を甲冑で固めた武神として表される。
日本の遺例としては、東大寺・法華堂(ほっけどう。三月堂)の塑像(国宝)が知られる。堂内において北側の厨子に安置され、年1回だけしか開扉が許されていないため、極めて保存状態が良い。奈良朝の造像としては、金箔・彩色が表面に非常によく残存しており、貴重な存在である。
また、京都の金剛院(こんごういん)の木像は、鎌倉時代に快慶の手によって、東大寺・法華堂像に学んで作られた。