宗鏡録(すぎょうろく)
宗鏡録(すぎょうろく)は、中国五代十国(ごだいじっこく)の呉越(ごえつ)から北宋初の僧、永明延寿(えいめい えんじゅ)が撰した仏教論書、100巻。
961年の成立である。
撰者の延寿は、雪峯義存(せっぽう ぎぞん)の弟子である翠巌令参(すいがん れいさん)のもとで出家し、天台徳韶(てんだい とくしょう)の嗣法となった禅僧である。延寿の主著が、本書であり、禅をはじめとして、唯識・華厳・天台の各宗派の主体となる著作より、その要文を抜粋しながら、各宗の学僧によって相互に質疑応答を展開させ、最終的には「心宗」(しんしゅう)によってその統合をはかるという構成になっている。
この総合化の姿勢は、その『万善同帰集』(まんぜんどうきしゅう)にも見られるものであり、後世になって、「禅浄双修」「教禅一致」が提唱された時、延寿の著書が注目されることとなった。
『大正新脩大蔵経』第48巻「諸宗部」5に収録されている。