仏祖歴代通載(ぶっそ れきだい つうさい)


仏祖歴代通載』(ぶっそ れきだい つうさい)とは、中国で編纂された、古代より元統(げんとう)元年(1333年)に及ぶ仏教編年史書である。撰者は、の梅屋念常(うめや ねんじょう)。全22巻。


本書の巻頭にある、1344年の覚岸序によれば、撰者の梅屋念常は、諸方を遊歴して仏教史蹟を踏査している。その結果、従来の仏教史書に不十分な点が見られ、諸宗派の伝承、歴代の宰相や顕官による外護のあり様や、禅宗の伝灯に注意が払われていない点などに気づいた、という。また、1269年に編纂された『仏祖統紀(ぶっそとうき)であっても、なおその体裁に歴史書として欠けるものがある、という。その結果、20年余にわたって困苦の末に完成したのが、本書である、としている。

覚岸の序などでは、このように述べてはいるが、実際は、陳垣(ちん えん)がその著書で指摘する通り、本書の内容は、隆興(りゅうこう)2年(1164年)に著述された『隆興仏教編年通論』29巻の内容を完全に踏襲している。よって、本書中の五代までの叙述は、その抄出でしかない。



よって、本書の特色となる部分は、その巻18より以降の宋代元代の部分、5巻分である。但し、その叙述には、編年体の記述法から言えば、逸脱した箇所も多々見受けられる。


撰者・梅屋念常

本書の撰者である梅屋念常(うめや ねんじょう。1282年 - ? )は、華亭県(甘粛省平涼市)の出身。浙江嘉興(かこう)の大祥符禅寺に住した臨済宗大慧(だいえ)派に属する禅僧である。晦機元煕(まいき げんき。1238年 - 1319年)の門弟である。


刊本

· 慶長(けいちょう)17年(1612年)、和刻本(活字本)

- 龍谷大学図書館蔵本


· 『仏祖歴代通載略釈』

- 無著道忠(むじゃく どうちゅう)撰の、注解書


· 縮冊大蔵経』『大日本続蔵経』所収本 - 全36巻


· 大正新脩大蔵経』所収本 - 全22巻