景徳傳燈録(けいとくでんとうろく)
景徳傳燈録(けいとくでんとうろく、新字表記:景徳伝灯録、全30巻)は、中国・北宋代に道原(どうげん)によって編纂された禅宗を代表する燈史(とうし)である。
過去七仏(かこしちぶつ)から天台徳韶(てんだい とくしょう)門下に至る禅僧その他僧侶の伝記を収録している。多くの禅僧の伝記を収録しているため、俗に「1,700人の公案」と呼ばれているが、実際に伝のあるものは965人である。1004年(景徳(けいとく)元年)に道原が朝廷に上呈し、楊億(ようおく)等の校正を経て1011年に続蔵(ぞくぞう)に入蔵を許されて天下に流布するようになったため、年号をとって、景徳傳燈録と呼ばれるようになった。これ以降、中国禅宗では燈史の刊行が相次ぎ、それはやがて公案へと発展した。 現在もなお、景徳傳燈録は禅宗を研究する上で代表的な資料であり、必ず学ぶべきものとされるが、内容は必ずしも史実とは限らない部分もある。
なお、撰者に関しては、元々は拱昻が編集したが、朝廷に提出する旅の途中で道原に横取りされて提出されてしまったとの説があるが、中国の仏教学者 陳垣(ちん えん)によって否定されている。