和讃 原型
和讃の原型である「讃歎」(「仏教讃歎」、「讃談」とも)は、古く奈良時代にさかのぼる。和文の声明(しょうみょう)で、曲調は「梵讃」・「漢讃」に準ずる。歌体は、一致しない。法会の奉讃供養に用いる歌謡として作られたと考えられている。
伝光明皇后(701年 - 760年)、もしくは行基(ぎょうき。668年 - 749年)
『法華讃歎』(ほつけさんたん)
伝行基
『百石讃歎』(ももさかさんだん)
文室真人智努(ぶんよのまひとちぬ)(693年 - 770年)
『仏足石歌』(ぶっそくせきか)
天平勝宝5年(753年)の作
薬師寺の「仏足石」(ぶっそくせき。国宝)の後方に「仏足跡歌碑」(国宝)が残る。
万葉仮名を用いる。歌体は、五 - 七 - 五 - 七 - 七 - 七調で「仏足跡歌体」と呼ばれる。
伝円仁(えんにん。794年 - 864年)
『舎利讃歎』(しゃりさんだん)
「讃歎」から「和讃」への転換となる。現在は、真言宗にその声明が伝わる。