三悪趣（さんあくしゅ）

三悪趣（さんあくしゅ）

三悪趣（さんあくしゅ）とは、仏教において、悪行を重ねた人間が死後に「趣（おもむ）く」といわれる3つの下層世界（地獄・餓鬼・畜生の3つ）を指す。三悪道（さんあくどう）、あるいは三悪、また三途（三塗とも、さんづ／さんず）などともいう。

三悪趣は、五趣（ごしゅ）あるいは六道のうち、人間が生前に犯した下劣な振る舞いの果報としてその罪悪によって、死後に苦しい生活を送る事になる場所といわれる。

· 畜生趣 - 下品（げぼん）の十悪業を犯した者が趣く

· 餓鬼趣 - 中品（ちゅうぼん）の十悪業を犯した者が趣く

· 地獄趣 - 上品（じょうぼん）の十悪業を犯した者が趣く

一般的には、悪業を犯した者が趣く世界とされるが、のちに現世での悪業によるその人の精神的な境涯を表しているとも解釈される。

なお、六道の下層3位を三悪趣と呼ぶのに対し、その上層3位である修羅・人間・天上を三善趣（さんぜんしゅ）と呼び、区別する場合もある。また、三悪趣に修羅を加えた4つを四悪趣（しあくしゅ）とも称する。

三塗（さんず）

『四解脱経』の説による。「塗」は「途」の義である。

· 火途（かず） - 地獄道では猛火に焼かれる

· 血途（けちず） - 餓鬼道では互いに食い合う

· 刀途（とうず） - 畜生道では刃物に脅される

この世とあの世の分かれ目とされる三途川（さんずのかわ）は、ここから由来しているとも言われている。