劫 仏教
劫には大劫(mahākalpa)と中劫(antarakalpa。中間劫、もしくは小劫とも訳される)の2種類がある。中劫は大劫を均等に80分割したものであり、1大劫=80中劫である。
大劫がヒンドゥー教の劫に当たり、単に「劫」といえばほとんどは大劫である。しかし、仏教の劫はヒンドゥー教と違い、具体的な時間の長さは特に決められていない。
ただし、八大地獄の中で最も恐ろしいと言われる無間地獄(むけんじごく)の刑期は一中劫とされているが、これは人間界の6400年を1日とした場合の6万4000年を1日として6万4000年と言われ、人間界の時間では349京2413兆4400億年に当たる。これを1中劫とした場合の1大劫は、人間界の時間で2垓7939京3075兆2000億年になる。
大乗仏教の論書である『大智度論』(だいちどろん)には「1辺40里(現代中国の換算比で20km。漢訳時も大きくは違わない)の岩を3年に1度(100年に1度という説もある)、天女が舞い降りて羽衣でなで、岩がすり減って完全になくなるまでの時間を指す」というたとえ話が載っているが、これはあくまで比喩であって定義ではない(この他にも「1辺40里の城にケシ粒がぎっしり詰まっており、その中から100年に1粒ずつケシ粒を取り出していって、城の中のケシ粒が完全になくなるまでの時間である」などというたとえ話がある)。なお、このたとえは落語『寿限無』(じゅげむ)にも「五劫のすり切れ」として登場する。