閻魔 各地の信仰 インド


本来はインドイラン共通時代にまで遡る古い神格で、アヴェスターの聖王イマ(ペルシア語でジャムシード)や北欧神話のユミルと同起源である。



リグ・ヴェーダ』では人間の祖ともされ、ヤマとその妹ヤミーが兄弟姉妹婚により最初の人類が生まれ、人間で最初の死者となったゆえに死者の国の王となった。虚空のはるか奥に住むという。インドでは、古くは生前によい行いをした人は天界にあるヤマの国に行くとされた。



彼は時として“死”と同一視される向きもあったが、死者の楽園の王、死んで天界にある祖先を支配する神と考えられていた。 しかし後に赤い衣を着て頭に冠を被り、手に捕縄を持ち、それによって死者の霊魂を縛り、自らの住処・国に連行されると考えられた。またさらに下界を支配して死者を裁き、地獄に落とす恐るべき神と考えられるようになり、ついには単なる死神としても描かれるようになった。



骸骨の姿をした死の病魔トゥルダクや、二匹の四つ目で斑の犬サーラメーヤを従える。現在のインドでは、青い肌で水牛に乗った姿で描かれる(本来は黒い肌だが美術上の様式として青く描かれる)。



のちに仏教に混入されて地獄の主と位置づけられるようになった。




ただし一説には、本来はヴェーダのYamaという同一尊から二途に分かれていったとも考えられている。その二途とは


1つは、下界の暗黒世界、すなわち地獄界の王となった。つまり本項の閻魔。


1つは、上界の光明世界、すなわち六欲天(ろくよくてん)の第3天である夜摩天(やまてん)、あるいは焔摩天(えんまてん)


しかし、閻魔はYama(ヤマ)であるが、夜摩・焔摩はYaamaあるいはYaamaa(ヤーマ、ヤーマー)なので、本来は関係ないが混同されたと考える向きもある。