三界(さんがい)


三界(さんがい、tridhātu)は、欲界(よくかい)色界(しきかい)無色界(むしきかい)の三つの総称。三有(さんう、さんぬ)ともいう。凡夫が生死を繰り返しながら輪廻する世界を3つに分けたもの。なお、仏陀はこの三界での輪廻から解脱(げだつ)している。



欲界(kāmadhātu)

淫欲と食欲の2つの欲望にとらわれた有情(うじょう)の住む処。六欲天(ろくよくてん)から人間界を含み、無間地獄までの世界をいう。



色界(rūpadhātu)

欲界の2つの欲望は超越したが、物質的条件(色。しき)にとらわれた有情が住む処。この色界は禅定の段階によって、4つ(四禅天)に分けられ、またそれを細かく18天に分ける。



無色界(ārūpyadhātu)

欲望も物質的条件も超越し、ただ精神作用にのみ住む世界であり、禅定に住している世界。


用法

法華経』譬喩品(ひゆほん)に「三界は安きことなく、なお、火宅のごとし」というのは、迷いと苦しみのこの世界を、燃えさかる家にたとえたもの。


「三界に家なし」とは、この世界が安住の地でないことを意味し、後には女性の不安定な地位を表す諺になった。