弁才天 日本における信仰と造像 神仏分離


弁天信仰の広がりと共に各地に弁才天を祀る社が建てられたが、神道色の強かった弁天社は、明治の神仏分離の際に多くは神社となった。元々弁才天を祭神としていたが現在は市杵嶋姫命として祀る神社としては、奈良県の天河大弁財天社などがある。神奈川県の江島神社は主祭神を宗像三女神に改め、弁才天は摂社で祀られる。また、竹生島の宝厳寺では、弁才天を祀っていた本殿が市杵嶋姫命を祀る神社として分離され、宮島の厳島神社では、弁才天像が神宮寺へと移された。



以上のように、近世以降の弁才天信仰は、仏教、神道、民間信仰が混交して、複雑な様相を示している。