牛頭天王 祭礼
平安時代中期以降、祇園社で御霊会が営まれるようになったが、その期日は疫病のもっとも発生しやすい旧暦6月であった。これは、それ以前からおこなわれていた夏越の祓(なごしのはらえ)やこの時期にとりおこなわれてきた水神祭(すいじんさい)をも包摂していって、夏祭りとして全国的に広がっていった。
日本各地に天王祭(てんのうさい)や蘇民祭(そみんさい)が伝わる。中部地方にあっては八坂神社のみならず津島神社の祭礼も天王祭と呼称される。愛知県津島市の津島神社はその総本社であり、旧暦6月15日は尾張津島天王祭となっている。天王祭(夏越の祓)にあわせ、厄除けのため、蘇民将来説話に由来する「茅の輪くぐり」とよばれる風習が各地にのこり、とくに厄年の人びとがこれに参加することが多い。いっぽうの蘇民祭は、小正月(こしょうがつ)など冬季にひらかれることが多く、特に岩手県内陸南部ではこの行事が濃密に分布する。