金仏壇 製造工程


各産地によって異なるが、木地、塗り、金箔押しの他、各産地で工程が細分化されており、それぞれに専門の職人が存在する。一枚の板から仏壇ができるまで約3ヶ月を要する。高度に専門化された職人の技が継承され続けることにより、金仏壇は工芸品としての付加価値が高く、結果として経済産業省認定の伝統的工芸品に指定される産地を生み出した。


木地

まず始めに仏壇の木地(きじ)を造り、仮組みをおこなう。素材には、檜(ひのき)欅(けやき)、部分的に合板・ボードが用いられる。木地製作の際、漆を塗った特の厚みを計算に入れて製作する(仮組みをした木地の引き出しなどには、漆の厚み分のすき間がある)。木地を製作する職人を「木地師」というが、宮殿(くうでん)部を製作する「宮殿師」を分ける産地もある。


下地

塗面を整えるために、全ての部品をばらして下地塗りを施す。木の痩せ防止やヤニ止め、漆の密着度を高めるために行われる。仕上がりに影響を与える重要な工程である。伝統技法では膠地・砥の粉地・堅地がある。現在多くはポリエステル系及び、ポリウレタン系樹脂塗料が用いられる。


漆塗り

伝統的には、天然が使われてきた。現在ではその他に代用漆として、カシューエポキシなどの化学塗料も使われる。天然漆では刷け塗りがされる。代用漆は吹付けが可能なため省力化が可能であり、仏壇の量産化に大きく貢献した。ちなみに代用漆では漆かぶれがない。天然漆は(むろ)で乾燥させる。漆の乾燥には湿度と温度が必要である。摂氏25~30度、湿度約80%に保ち、約2日掛けて乾燥させる。カシューなどの代用漆はこうした細かい調整は必要ない。漆を塗って研ぎ、また漆を塗るという工程を数回繰り返す。高級品ほどその回数が増えていく。


金箔・金粉

金箔は、一号色から四号色まで広く使われる。最も一般的なのは四号色である。金沢とその周辺地域で作られたものが出回っている。なお、海外製の金仏壇でも金箔は金沢のものが使われている。金箔を貼る際には接着剤として漆を用いるが、その拭き取りかげんで金箔の輝きが違ってくる。漆を多く拭き取るとピカピカと光る。これを光り仕上げという。対して漆のふき取り量を少なくすると落ち着いた光になる。これを消し仕上げと言う。以前は光り仕上げが多かったが、近年では消し仕上げの方が品良く見えるため、消し仕上げが主流になっている。金箔は金を薄く延ばしたものであるが、金粉は蒔くために金箔に比べて同じ面積あたりの使用量(3~4倍)が多くなる。そのため、重厚な印象に仕上がるが価格も上がる。金粉は金箔製造工程で出る金箔あまりを加工したものが用いられることが多い。


蒔絵

伝統的には高蒔絵・平蒔絵・研出蒔絵がある。絵漆を蒔絵専用の筆に取り文様を描く。螺鈿(らでん)細工・沈金も用いられる。最近はシルクスクリーン印刷も行われる。


彫刻

何十という種類の(のみ)を使い分けて彫り上げる。欄間や障子の腰、柱飾りなど一つの仏壇でも多くの箇所施される。彫刻は海外(中国等)で製作される比率のもっとも高い部分であり、9割以上は海外製品である。安価品にはプラスチック製が使われるが、同じ形のものを量産しなければ採算が取れないため、現在は同じ商品を沢山製作する海外製の一部に見られる。


金具

補強や装飾の意味で用いられる。伝統的には鏨(たがね)を使った手打ち金具であるが、現在多くはプレス電機鋳造NCなどである。素材は銅・真鍮・アルミ・鉄や樹脂製のものもある。