教相判釈 五時八教説 五時①
最初に華厳経を説き、その教えが難しいため人々が理解できなかったとして、次に平易な阿含経を説いたとする。人々の理解の割合に応じて、方等経、般若経を説き、最後の8年間で法華経と涅槃経を説いたとする。そして最後に説いた法華経が釈迦のもっとも重要な教えであるとしている。
五時を、説法した期間・会座(えざ=説法の場所)・経典などを分類すると次の通り。
1 華厳時
o 期間 - 21日間(一説に31日間とも)
o 会座 - ガヤー城近郊、ナイランジャナー河の菩提樹の下など、7処8会
o 経典 - 華厳経(大方廣仏華厳経)
o 位 - 乳酥(にゅうそ)、別・円を説く頓教(とんぎょう)、擬宜(ぎぎ)の教え
2 阿含時
o 期間 - 12年間
o 会座 - バラナシー国の鹿野苑
o 経典 - 増一、長、中、雑、小の阿含経、法句経などの南伝大蔵経
o 位 - 酪酥、蔵のみを説く漸教(秘密・不定教もあり)、誘引の教え
3 方等時
o 期間 - 16年間(一説に8年間)
o 会座 - シュラヴァスティーの祇園精舎、マガダ国の竹林精舎、ヴェーサリー国のアンバパーリー園など
o 経典 - 大方等大集経(だいほうどうだいじっきょう)、阿弥陀経、大宝積経(だいほうしゃくきょう)、大日経(だいにちきょう)、金光明経(こんこうみょうきょう)、維摩経(ゆいまきょう)、勝鬘経(しょうまんぎょう)、解深密経(げじんみっきょう)など権大乗経
o 位 - 生酥、蔵通別円の4教を対比して説く漸教(秘密・不定教もあり)、弾訶の教え
4 般若時
o 期間 - 14年間(一説に22年間)
o 会座 - マガダ国のラージャガハ附近の霊鷲山など、4処16会
o 経典 - 大般若経、金剛般若経、般若心経など
o 位 - 熟酥、円教に通別を帯ばしめて説く漸教(秘密・不定教もあり)、淘汰の教え