一念三千 継承と発展


一念三千は、本来は天台宗によって創始、発展されたものであるが、日蓮はこの一念三千の理法を受け継ぎ、やはり仏法の極理であるとした。そして「観心本尊抄」で末法の世における一念三千の実践を論じ、一念三千は法華経の本門によって完全となり、それを具象化したものが十界曼荼羅の本尊であり、この本尊を具体的に実践するのは題目を唱えることだと説いた。


特に「一念三千の法門は、ただ、法華経の本門、寿量品の文の底に沈めたり」という「開目抄」の一文は有名である。しかし、日蓮宗各派では、この一文は釈迦を本仏とするか日蓮を本仏とするかの論争の一点となっている。


したがって、現在、この一念三千を仏法の極理だとして盛んに宣揚しているのは、天台宗よりも日蓮宗系宗派が主である。特に日蓮正宗及び関連教団などは、一念三千という言葉を多用している。