波羅提木叉(はらだいもくしゃ)

波羅提木叉(はらだいもくしゃ、: prātimokṣa (プラーティモークシャ): pātimokkha(パーティモッカ))は、仏教の出家者(比丘比丘尼)が順守しなくてはならない僧団(僧伽)内の禁則・規則条項(いわゆる具足戒。ぐそくかい)、あるいは、それを記した典籍(戒本)のこと。別解脱戒などとも。

」(vinaya(ヴィナヤ))の中核を成すものであり、例えば、南伝の上座部仏教で用いられているパーリ語仏典であれば、この波羅提木叉の説明である「経分別」(suttavibhanga)に、僧団(僧伽)運営規則である「犍度」(けんど。Khandhaka)と、「附随」(parivara)が付け加えられる形で、「律蔵」(vinaya pitaka)(通称「パーリ律」)が構成されている。


在家信者や沙弥しゃみ。見習い僧)が必ず守るべき「」(: śīla : sīla(シーラ))は、三帰依(さんきえ)を前提とした上で、基本的に五戒(ごかい)八斎戒(はっさいかい)、あるいは沙弥の十戒(じっかい)止まりだが、この波羅提木叉(具足戒)を授けられ、正式に僧団(僧伽)の一員となった出家僧(比丘・比丘尼)にとっては、当然、この波羅提木叉(具足戒)も「戒」に含まれることになる。「戒律」とひとまとめに呼ばれるのも、そのためである。


布薩ふさつ。月に2回、満月・新月の日にある僧団(僧伽)内の集会)の度ごとに読み上げられ、抵触していないか確認される。


比丘(男性出家者)向けと、比丘尼(女性出家者)向け、男女別にそれぞれ分かれている。パーリ語仏典(パーリ律)内の波羅提木叉では、比丘向けが227戒、比丘尼向けが311戒となっている。