山伏(やまぶし)
山伏(やまぶし)とは、山中で修行をする修験道の行者。「修験者」(しゅげんじゃ)とも言う。
山伏は、奈良吉野山地の大峯山(金峯山寺)を代表に、大山(鳥取県)や羽黒山(山形県)など日本各地の霊山と呼ばれる山々を踏破(抖擻。とそう)し、懺悔(さんげ)などの厳しい艱難苦行を行なって、山岳が持つ自然の霊力を身に付ける事を目的とする。
山岳信仰の対象となる山岳のほとんどは、一般の人々の日常生活からはかけ離れた「他界」に属するものであり、山伏たちは山岳という他界に住んで山の霊力を体に吸収し、他界や現界をつなぐ者としての自己を引き上げて、それらの霊力を人々に授ける存在とされていた。
山伏は、頭に頭巾(ときん)と呼ばれる多角形の小さな帽子のような物を付け、手には錫杖(しゃくじょう)と呼ばれる金属製の杖を持つ。袈裟(けさ)と、篠懸(すずかけ)という麻の法衣(ほうえ)を身に纏う。また、山中での互いの連絡や合図のために、ほら貝を加工した楽器を持つ。
天狗や烏天狗は、山伏の装束を身に纏うとされた。