仏教タントラにおけるチャクラ


インド仏教の後期密教タントラ経典でもチャクラへの言及がある。チャクラの数や位置についてはいくつか異説があるが、一般に臍、心臓、喉、脳の4輪があるとされる。最上位はヒンドゥー・ヨーガのサハスラーラに相当する「ウシュニーシャ・カマラ」(頂蓮華)または「マハースッカ・カマラ」(大楽蓮華)である。他の3つは臍にある「変化身」(ニルマーナ・カーヤ)のチャクラ、心臓にある「法身」(ダルマ・カーヤ)のチャクラ、喉にある「受用身」(サンボガ・カーヤ)のチャクラであり、仏身の三身(さんじん、さんしん)に対応している。



インド密教を継承したチベット仏教の無上瑜伽タントラでは以下のチャクラがあるとされる。


· 大楽輪(頭頂)

· 受用輪(喉)

· 法輪(胸)

· 変化輪(臍)

· 守楽輪(秘密処=下丹田にあたる)




一説には、インド密教ヨガのタントラ経典やチベット密教カギュ派のタントラ経典などでは、身体には主要な7つのチャクラ(または6つのチャクラと1つの門)と、身体のあちこちにあるその他の小さなチャクラとがあるとされている。主要な7つのうち、会陰(えいん)と頭頂を除く5つのチャクラは、脊髄に沿った5つのチャクラと、身体前面に沿った5つのチャクラとはそれぞれがになって繋がっているとされている(「タントラ密教経典」参照。なお、密教経典は門外不出とされている)。


· 下位幽体のチャクラ(会陰)

· 上位幽体のチャクラ(臍下約3cm)

· 応身(変化身)のチャクラ(臍上約3cm)

· 法身のチャクラ(胸)

· 報身のチャクラ(喉)

· 本性身のチャクラ(額)

· 金剛身のチャクラ(頭頂)



チベット仏教ゾクチェンのラマであるナムカイ・ノルブの説明によれば、タントラ経典によってチャクラの数が異なるのは一貫性に欠けているわけではなく、基本的なプラーナのシステムの概念は共通しており、さまざまなタントラの修行においてそれぞれに異なったチャクラを使うため、それぞれのテキストでは必要なチャクラだけが書かれているのだという。