ヴァルナ(神)

ヴァルナサンスクリット語: वरुणVaruṇa)は、古代インドの神であり、ミトラとならぶ最高神でもある。ミトラとともに太古のアスラ族、アーディティヤ神群を代表した神である。


インド

インドでは『リグ・ヴェーダ』などの諸ヴェーダにおいて、雷神インドラ、火神アグニとともに重要な位置に置かれ、天空神、司法神(=契約と正義の神)、水神などの属性をもたされた。この段階ですでにブラフマン(梵天)によって始源神としての地位を奪われており、さらに後には死者を裁くヤマ神に司法神としての地位を奪われるにつれ、水との関係からやがては水の神、海上の神という位置づけがあたえられることとなった。

ミタンニヒッタイト条約文にもヴァルナ神の名があげられている(条約=国家間の契約ということから)。


仏教・神道への影響

仏教に採り入れられた際には水神としての属性のみが残り、仏教における十二天の一つで西方を守護する「水天(すいてん)となった。

日本では各地の「水天宮」はこの「水天」(=ヴァルナ)をまつったものだったが、現在の各地の水天宮の祭神は天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)とされている。これはヴァルナ神のもともとの神格が最高神、始源神であったことによる。


イラン

アヴェスターにはヴァルナは出てこないが、ミスラと並んで現れる「アフラ」をアフラ・マズダーでなく水神アパーム・ナパートのこととして、インドのヴァルナに対応させる説がある。


その他

太陽系外縁天体の小惑星『ヴァルナ』の名称はヴァルナ神に由来する。また、かつて東日本フェリーが運航していたフェリーぱるな』の名称もこれに由来する。