不可触民の職業
ダリットには、皮革労働者(チャマール)、屠畜業者(マハール)、貧農、土地を持たない労働者、街路清掃人(バンギー、またはチュラ)、街の手工業者、バーリヤなどの民俗芸能者、洗濯人(ドービー)などのジャーティが含まれる。ジャーティがインドの社会秩序においてどのような地位を占めるかの基準は、人格や専門性などではなく、その職業をおこなうにあたっての接触する物体の浄・不浄の度合いによって決められているとされている。穢れは、「死」「産」「血」「体からの分泌物」より生じると考えられ、つぎつぎに伝染するとされてきた。上記の職業は、不浄なものに触れやすいとして、伝統的に、特に低い地位におかれてきたのである。
不可触民のなかにも序列がある。占い師と医師を兼ねるバッルバンというジャーティは、不可触民のなかで最高位を占め、「賤民中のバラモン」と自称することさえある。反対に、清掃、糞尿汚物処理専門の人びとは不可触民のなかでも最も地位が低く、卑しめられており、これらの職業は基本的に世襲であることから、不可触民のなかには、人間以下の境遇から抜け出るため、これらの仕事を放棄することが増えてきている。