ヴァルナ・ジャーティ制
ヴァルナ・ジャーティ制(ヴァルナ・ジャーティせい)は、インドにおける身分制度に対する一呼称で、従来用いられてきた「カースト制」の別称。「カースト」がポルトガル語起源による外来の概念であるところから、それをインド在来の概念によって置き換えようとして、近年、導入が主張ないし検討されている用語。インド史学の小谷汪之(こたに ひろゆき)が日本における主たる提唱者であり、賛同者も少なくない。
提唱の背景
カーストとは、ヴァルナ(四種姓)のみならず、インド社会におけるさまざまな共同体およびそこにおけるインド特有の社会慣行を内包しており、これらの多様で複雑な現象はヴァルナとジャーティの両概念に還元されて理解されるべきものではないかというのが、この用語の提唱の背景である。
提唱の前提
この用語が提唱される前提としては、「カースト」という語がヴァスコ・ダ・ガマ以前にはさかのぼらないことから、古代に端を発したインドの身分制度、社会慣行をあらわすのには不適切だとする見方がある。
また、ヴァルナが概念上のものであるのに対し、ジャーティは内婚と職業選択に関するものであり、2,000とも3,000ともいわれるジャーティは、かならずいずれかのヴァルナに包摂されるという認識がある。