中道 有無中道
『沙門果経』(しゃもんかきょう)をはじめとして、初期仏教経典では度々六師外道(ろくしげどう)との思想比較が行われる。
その六師外道の内、
· プーラナ・カッサパ(魂恒常論、道徳・努力不要論)
· マッカリ・ゴーサーラ(運命決定論、アージーヴィカ教)
や、唯物論者である
· アジタ・ケーサカンバリン(順世派(ローカーヤタ))
· パクダ・カッチャーヤナ
の計4名の思想は、それぞれ魂・運命に関する「常見」と「断見」の「二辺」がもたらす弊害(道徳・努力の欠落・喪失、人心荒廃)や、それゆえの仏教における「有無中道」の重要性を浮かび上がらせる役割を果たしている。
(ちなみに、残る二名の内、ニガンタ・ナータプッタ(ジャイナ教)は、提婆達多(だいばだった)と同じく、苦行に執してしまっている存在として、他方のサンジャヤ・ベーラッティプッタ(懐疑論)は、「確定的な論・道」を示せない存在として、仏教と対照され、仏教の立場を浮き彫りにする役割を果たしている。)