摧邪輪(ざいじゃりん)



摧邪輪(ざいじゃりん)とは、鎌倉時代初期の建暦(けんりゃく)2年(1212年)、華厳宗中興の祖といわれる明恵上人高弁(みょうえしょうにん こうべん)法然が撰述した『選択本願念仏集(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)に対し、それを邪見であるとして反駁するために著述した仏教書。全3巻。書名は「邪輪(よこしまな法説)を摧(くだ)く」の意。原文は漢文





『摧邪輪』は正確には『於一向専修宗選択集中摧邪輪』といい、『選択本願念仏集』において法然が唱えた教説、すなわち称名念仏(しょうみょうねんぶつ)こそが浄土往生の正業であり、もっぱら念仏を唱えることによって救われるとする専修念仏(せんしゅうねんぶつ)に対し、そこには大乗仏教における発菩提心ほつぼだいしん。悟りを得たいと願う心)が欠けているとして、激しくこれを非難したものである。



菩提心は是れ諸善の根本、万行(ばんぎょう)の尊首(そんしゅ)なり。(中略)仏道の種子(しゅじ)なり。