卍 ハーケンクロイツ


国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が党章に採用したハーケンクロイツは、昔から西洋で使われていた卐が元となった。シュリーマンがインド・ヨーロッパ語族と卐(右まんじ)の関連を示したことで、アーリア人の象徴として選ばれたものである。




現在のヨーロッパにとって、卐はナチスの忌まわしいシンボルマークとして認識されている。右卍か左卍に関わらず、両方がほとんどのヨーロッパ諸国で法律によって使用が禁止されている。特にドイツではハーケンクロイツの使用が完全に禁じられており、学術的な目的や、反ナチ意識高揚のための使用を除き、公の場で使用すると逮捕される。


そのため、ハーケンクロイツとよく似ている卍の使用もヨーロッパでは忌避されることがある。例えば、少林寺憲法は従来、盾卍をシンボルマークとしてきたが、ヨーロッパの一部の国では使用することができなかったため、世界で統一したマークを採用するために、2005 年 4 月に双円(ソーエン)という新マークを作成した。また、2006 年、徳島阿波踊りドイツで披露された際、浴衣の卍文様を自粛したこともある(徳島藩蜂須賀氏家紋が卍であったため、今でも阿波踊りでは卍をあしらった浴衣がよく見られる)。また、日本のアニメ漫画などがヨーロッパに輸出されるときも、卍印が登場するシーンの絵が削除・訂正されることが多い。