天地開闢 あらすじ 『日本書紀』①
『日本書紀』における天地開闢は渾沌が陰陽に分離して天地と成ったという世界認識が語られる。続いてのシーンは、性別のない神々の登場のシーン(巻一第一段)と男女の別れた神々の登場のシーン(巻一第二段・第三段)に分かれる。また、先にも述べたように、古事記と内容が相当違う。さらに異説も存在する。
根源神たちの登場
本文によれば、太古、天と地とは分かれておらず、互いに混ざり合って混沌とした状況にあった。しかし、その混沌としたものの中から、清浄なものは上昇して天となり、重く濁ったものは大地となった。そして、その中から、神が生まれるのである。
天地の中に葦の芽のようなものが生成された。これが神となる。
§ 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
§ 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
§ 豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)
これらの神々には性別がなかった。
第一の一書によれば、天地の中に生成されたものの形は不明である。しかし、これが神となったことは変わらない。生まれた神々は次の通りである。なお、段落を下げて箇条書きされているのは上の神の別名である。
§ 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
国底立尊(くにのそこたちのみこと)
§ 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
国狭立尊(くにのさたちのみこと)
§ 豊国主尊(とよくにむしのみこと)
豊組野尊(とよくむののみこと)
豊香節野尊(とよかぶののみこと)
浮経野豊買尊(うかぶののとよかふのみこと)
豊国野尊(とよくにののみこと)
豊齧野尊(とよかぶののみこと)
葉木国野尊(はこくにののみこと)
見野尊(みののみこと)
第二の一書によれば、天地の中に葦の芽のようなものが生成された。これが神となったとされる。すなわち、本書と同じ内容であるが、神々の名称が異なる。
§ 可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこぢのみこと)
§ 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
§ 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
第三の一書でも生まれた神々の名が異なる。なお、生まれた神は人のような姿をしていたと描写されている。
§ 可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこぢのみこと)
§ 国底立尊(くにのそこたちのみこと)
第四の一書によれば、生まれた神々の名は下の通りである。この異伝は『古事記』の記述に類似している。
§ 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
§ 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
これらの二柱の神々の次に高天原に生まれたのが下の三柱の神々である。
§ 天御中主尊(あめのみなかぬしのみこと)
§ 高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)
§ 神皇産霊尊(かみむすひのみこと)
第5の一書によれば、天地の中に葦の芽が泥の中から出てきたようなものが生成された。これが人の形をした神となったとされる。本書とほぼ同じ内容であるが、一柱の神しか登場しない。
§ 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
第6の一書も本書とほぼ同様に葦の芽のような物体から神が生まれた。ただし、国常立尊は漂う脂のような別の物体から生まれた。
§ 天常立尊(あまのとこたちのみこと)
§ 可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこぢのみこと)
§ 国常立尊(くにのとこたちのみこと)