伊舎那天(いざなてん、いしゃなてん)



伊舎那天(いざな、いしゃな・てん、Skt:Issaana)は仏教天部における天神(てんじん)の名である。欲界第六天他化自在天、たけじざいてん)の主。




種子(種字)はイ。十二天の一。『十二天供儀軌』(じゅうにてんくぎき)、『大智度論』16などでは大自在天(だいじざいてん)の異名ともされるが、これは混同されたもので実際はまったく異なる天神である。

密教胎蔵界曼荼羅では、外金剛院(げこんごういん)の上首(じょうしゅ、一座の衆僧中の中心的人物)に位する。




『壒嚢抄(あいのうしょう)12』に「ある説には、第六の魔王(第六天は他化自在天といい、そこに天魔である波旬(はじゅん)がいるとされる)とは伊舎那天の事なり、即ち伊佐那岐尊(いざなきのみこと)、これなり」とあり、北畠親房(きたばたけ ちかふさ)の『神皇正統記(じんのうしょうとうき)によると「ある説にイザナギイザナミ梵語なり、伊舎那天伊舎那后なりともいう」とある。

なお、伊舎那后(いざなごう、Skt:Iissaana)は、伊舎那天の后妃である。『秘蔵記(ひぞうき) 下』に「伊舎那天后。肉白色。持鉾。」、『胎蔵界曼陀羅鈔(たいぞうかいまんだらしょう)6』に委釈される。




形象

一面三目二臂の忿怒(ふんぬ)相、持物(じもつ)は右手に三叉戟(さんさげき)、左手に杯(さかずき)で、牛に乗る姿につくられる。