ジャーティの機能と特質



ジャーティは、以下のような伝統的機能と特質をもってきた集団単位である。




1 ジャーティは「生まれ」によって決定され、ジャーティからの追放をのぞけば一生変更できない。ジャーティの規範を逸脱した場合にはジャーティからの追放が課せられ、それは、インド社会において破滅に等しい意味をもってきた。しかし、それは改宗した場合を除けば永続的ではなく、贖罪(しょくざい)の行為や沐浴(もくよく)などの浄化儀礼をなすことを前提にふたたびジャーティにむかえられることが多かった。


2 男女とも同一のジャーティの者と結婚する義務があるとともに、そのなかの特定集団とは結婚できない。とくに、バラモンにおいては「ジャーティ内婚、ゴートラ外婚」が厳守される。ただし、相対的に上位に位置するジャーティの男性と下位の女性が結婚することはおおめにみられることがある。


3 ジャーティは世襲的な職業に就くものとされ、ほかのジャーティのものはその職業にはなれないとされてきた。ただし農業だけは、すべてのジャーティに開放された生業である。


4 浄・不浄の観念にもとづいて、ほかのジャーティとの水や食物のやり取り、共食・共飲はきびしく制限される。下位の序列のジャーティに属する人のつくった食べ物を食べることも不浄とされる。


5 それぞれのジャーティは、ヒンドゥー教における浄・不浄の観念にもとづいて、バラモン(ブラーフマナ)を頂点とする序列のなかに位置づけられる。