ヴィシュヌ アヴァターラ(化身)



ヴィシュヌは、アヴァターラと呼ばれる10の姿に変身して地上に現れるとされる。これは、偉大な仕事をした人物や土着の神を「ヴィシュヌの生まれ変わり」として信仰に取り込む為の手段であったと考えられる。よく「化身」と訳されるが、インカネーションとは意味合いが異なる。「権化(ごんげ)権現(ごんげん)化現(けげん)を使った方が正しい。





クリシュナラーマなどが有名な勇者で、クリシュナは叙事詩マハーバーラタ』で、ラーマは叙事詩『ラーマーヤナ』で語られている。

また、仏教の開祖仏陀ヒンドゥー教ではヴィシュヌのアヴァターラとされるが、人々を混乱させるために来たとされ、必ずしも崇拝されているわけではない。




ヴィシュヌの生まれ変わりであるアヴァターラは以下の通り。



マツヤ (Matsya)、

大洪水の時に賢者マヌの前に現われ7日後の大洪水を預言し、船にあらゆる種子と7人の聖者を乗せるよう言った。



クールマ (Kurma)、

神々が不死の霊水アムリタを海から取り出そうとした時、亀の姿になって現われて作業を助けた。



ヴァーラハ (Varaha)、

大地が水の底に沈められようとしたときに、猪の姿で現われ大地をその牙で支えた。


ナラシンハ (Narasimha)、ライオン男

半人半獅子の姿で悪魔ヒラニヤカシプを退治した。



ヴァーマナ (Vamana)、矮人(わいじん)

悪神バリによって世界が支配されたときに現われ、バリと3歩歩いた広さの土地を譲り受ける約束をした後、巨大化し世界を2歩で歩き3歩目でバリを踏みつけた。



パラシュマーラ、(おの)を持つラーマ

クシャトリヤ族が世界を支配した時、神々、ブラフマン、人を救った。



ラーマ(Rama) (意味は「心地よい」)

叙事詩『ラーマーヤナ』の英雄。魔王ラーヴァナから人類を救った。




クリシュナ (Krishna) (意味は「闇」または「黒」)

叙事詩『マハーバーラタ』の英雄。特にその挿話『バガヴァッド・ギーター』で活躍。



ゴータマ・ブッダ (仏陀/釈尊)

偉大なるヴェーダ聖典をアスラから遠ざける為に、敢えて偽の宗教である仏教を広めた(バーガヴァタ・プラーナ)。



カルキ (Kalki) ("時間")、救世主

カリ・ユガ(世界が崩れ行く時代)の最後、世界の秩序が完全に失われた時代に現れて悪から世界を救い、新しい時代(ユガ)を始めるという。




化身の数は、22種類ある場合もある。一般的には上記のダシャーヴァターラ(10化身説)が用いられる。

ゲームのウルティマ・シリーズでのアバタールや、オンライン・コミュニティ・サービスでのユーザーの視覚的イメージであるアバターはこの言葉に由来する。