六字大明呪(ろくじ だいみょうじゅ)



六字大明呪(ろくじ だいみょうじゅ)、正式には六字大明王陀羅尼(ろくじ だいみょうおう だらに)とは、仏教陀羅尼呪文(じゅもん))の1つ。六字真言とも。





唵(口+奄) - 麼 - 抳(手+尼) - 鉢訥 - 銘 - 吽: ॐ मणि पद्मे हूँ、Oṃ - ma - ṇi - pad - me - hūṃ、オーン・マ・ニ・パド・メー・フーン)の6字から構成される短呪。

観世音菩薩慈悲を表現した真言であるため、観音六字とも呼ばれ、特にチベットではダライ・ラマが観世音菩薩の化身であることから、人々によく唱えられるほか、岩(マニ石)や転輪車に刻まれて信仰されている。





意味

この真言には様々な意味が込められているが、最も知られているものが、「蓮華の宝珠よ、幸いあれ」である。それぞれ、オーンが「幸い」、マニが「宝珠」、パドメーが「蓮華」、フーンが呪文の完成を意味する。

ドナルド・ロペスの異説によれば、マニパドメーは1つの菩薩の名(「マニパドマ」の呼格)であり、観音の異称であるという。




六字大明呪と六道

そのほか、六字を六道(ろくどう、りくどう)の各道に充て、一語一語にそれぞれの罪を浄化する意味を持たせている。


六字

浄化の対象

六道


自我・高慢 (慢)



嫉妬・娯楽への渇望(嫉)

阿修羅


欲望・欲求(貪)


鉢訥

無知・偏見(痴)

畜生


貧窮・所有欲

餓鬼


憤怒・憎悪(瞋)

地獄




効果について

大乗仏教経典である『六字大明王陀羅尼経』や『仏説大乗荘厳宝王経』では、この真言を唱えれば、様々な災害や病気、盗賊などから観世音菩薩が護ってくれると、この真言を唱えた際の効果が説かれている。