宗教法人(しゅうきょうほうじん)



宗教法人(しゅうきょうほうじん)とは、法人格を取得した宗教団体の事である。営利を目的としない非営利団体であり、公益事業もできる公益法人の一つ。

銀行振込で使う略称は「シユウ」。





法人格の付与

宗教法人法」(昭和26年4月3日法律第126号)にもとづいて宗教団体に附与される。宗教団体に法人格を与える目的を、この法律では、「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他の目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えること」(第1条第1項)と規定している。

なお、宗教法人となったからといって、宗教団体としての格が上がるというわけではなく、不動産等を所有する権利主体となれるだけである。また、法人格を取得していなくとも、宗教活動を行うことは自由である。

宗教法人は法人定款(ていかん)に類する根本規則として「規則」を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない(宗教法人法12条)。また、宗教法人は「規則」を当該法人の事務所に常に備え付けなければならない。

宗教法人法では宗教法人に対して名称に特定の文字を含めることを義務付ける規定を設けていない。そのため、正式名称に「宗教法人」の文字が入っていないケースもある。



所轄する官庁

宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所を所管する都道府県知事とされるが、

§ 他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人

§ 上記の宗教法人を包括する宗教法人

§ 他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人

にあっては文部科学大臣の所轄となる(宗教法人法第5条)。



法人の役員

宗教法人には、「規則」で定めるところにより、3人以上の責任役員をおき、そのうち1人を代表役員とする。代表役員は規則に定めがないときは、責任役員の互選によって定める。代表役員は当該宗教法人を代表し、その事務を総括する。しかし、これらの役員の法人の事務に関する権限は、宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限をも含むものではない(宗教法人法第18条)。

未成年者は宗教法人の代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員になれない(宗教法人法第22条)」とされており、現在は20歳以上しか代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員になれないが、国民投票法成立を受け、法改正に向け検討が開始された。



事業活動

ほとんどの場合、寺社教会といった宗教施設を有する。宗教法人は、公益事業を行うことができ、法人によっては、淀川キリスト教病院(在日本南プレスビテリアンミッション)といった病院や神宮幼稚園(神宮)のような学校鞍馬山鋼索鉄道鞍馬寺)といった鉄道も運営している場合がある。

また、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業をも行うことができる。もっとも、収益が生じたときは、自己又は関係のある宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない(宗教法人法第6条)。



統計上の分類

宗教法人は統計上、神道系・仏教系・キリスト教系・諸教に分類される。「諸教」とは、それ以外の3つに分類されないあらゆる宗教(例えば、イスラム教(宗教法人日本ムスリム協会)など)のことである。ただし、これらの分類は当該宗教法人からの届けに基づくものであり、いずれかの宗教の影響を強く受けているにもかかわらず「諸教」に分類されているものも少なくない。