仏国記(ぶっこくき)
『仏国記』(ぶっこくき)とは、中国の東晋代の西域インド求法僧(ぐほうそう)・法顕(ほっけん)による旅行記である。1巻。
書名
『隋書』(ずいしょ)「経籍志」(けいせきし)で、『仏国記』という書名によって著録されている。しかし、仏教史書や経録(きょうろく)類では、『法顕伝』(『高僧法顕伝』)や『歴遊天竺記伝』(れきゆうてんじくきでん)という書名を見ることが出来る。
内容
法顕三蔵は、隆安(りゅうあん)3年(399年)に長安から求法の旅に出発し、タクラマカン砂漠を経てパミール高原を越え、パンジャブ地方よりガンジス川流域の仏跡を巡礼した。そこで、仏典の中でも戒律に関する原典を捜索した。その後、スリランカ(セイロン島)に渡り、海路から南洋地方を経由して山東(さんとう)地方の牢山(ろうざん)に漂着するまでの旅行記が、本書である。帰着した時は、義熙(ぎき)9年(413年)のことであった。
評価
本書は、仏教史は当然のこと、インド史・中央アジア史・南洋諸島史などの研究にとって、極めて貴重な史料を提供している。