仏壇の宮殿
通常、寺院宮殿(くうでん)は一間であるが、仏壇宮殿は本尊を祀る部分と脇侍(きょうじ、わきじ)を祀る両脇の三間で構成されるのが一般的である。金仏壇は小型寺院としての起源から、宮殿も寺院宮殿を忠実に模したものとなる。屋根と柱で構成され、厨子というより構造の一部であり、扉が付かないことが多い。一般に浄土の楼閣を現すとされ、須弥壇の上に設置される。金仏壇産地によっては木地師とは別に、「宮殿師」とよばれる、宮殿を製作する職人をおくところもあり、中には須弥壇まで製作する場合もある。
以下、特別な造りを挙げる。
§ 御坊造り(ごぼうづくり)
向って右側の一間に唐戸(からど)を付けて厨子状にしたもの。三河仏壇や名古屋仏壇で、主に真宗大谷派向けの仏壇に見られる。
§ 堂造(どうづくり、宮殿造(くうでんづくり))
寺院宮殿を模した一間の可動式の宮殿。災害時、本尊をもって避難することができるためとも言われる。手間がかかるため、高級品にしか用いられない。
§ 吊り宮殿(つりくうでん)
柱を取り付けず、本尊が良く見えるようにしたもの。他宗で用いられる。
宮殿は仏壇の特徴的な部分であり、そのため、家具調仏壇では設けられない場合が多い。