水鏡(みずかがみ)
『水鏡』(みずかがみ)は、歴史物語。成立は鎌倉時代初期(1195年頃)と推定される。作者は中山忠親(なかやま ただちか)説が有力だが、源雅頼(みなもとの まさより)説などもあり未詳。いわゆる「四鏡」(しきょう)の成立順では3番目に位置する作品である。内容的には最も古い時代を扱っている。
内容
神武天皇から仁明(にんみょう)天皇まで57代の事跡を編年体で述べている。73歳の老婆が、長谷寺に参籠中の夜、修験者が現れ、不思議な体験を語るのを書き留めたという形式になっている。『水鏡』独自の記事があるわけではなく、皇円(こうえん)が著した『扶桑略記』(ふそうりゃくき)から抄出したものである。ただし、序文には著者独自の歴史観が盛り込まれており、そこには特異性が認められる。