和尚と小僧(おしょうとこぞう)



和尚と小僧は、日本の民話のひとつである。



和尚と小僧の分布は全国的で、一説に子供の多くがなどで勉強するようになった中世頃に起こり、江戸時代にはやったという。

その骨子は、頓智頓才(とんちとんさい)のきく稚僧が俗気の抜けないけちな和尚を侮りからかい、閉口させ、笑いのうちに得をする。特徴は不幸の増大である。弱小な者のとんちが大人をあやつるのは痛快で、童話としてよろこばれた。雪隠餅、毒物など、一休などの物語とも一部、錯綜する。



なかでも食物に関するものが多く、これは寺院生活が食物に不自由したからであるという。たとえば山寺にぼた餅あるいは鮓(すし)の好きな和尚がいて、檀家から贈ってきたものを食べて残りをしまったが、小僧がこれを盗んで食べ、金仏の口に餡(あん)あるいは飯粒を付けておいたが、帰ってきた和尚が疑わしい金仏を打ち叩くと「くわんくわん」となり、次に小僧が水攻めの拷問にかけると「くったくった」と白状したという。あるいは小僧に用事を言いつけてそのすきに焼き餅、団子、ご馳走などを食べようとするが、小僧はこれを見破って機会をもうけて食べる。あるいは、砂糖、飴、甘酒、ナシなどを毒物と聞いたのをいいことにこれを食べ、和尚秘蔵の花瓶などを割り、死ぬために毒物を食べたと弁解する。朝鮮に伝わる民話では毒物は串カキ()、器物は硯(すずり)となっている。


また落ちていた財布を拾おうとして叱られたので、馬上から頭巾が落ちたのを拾わず、再び叱られて、つぎはウマのひりだした大便を拾うなどの滑稽を演じる。

ほかに、言葉の洒落、色欲の暴露などの話も多い。