チベット仏教の宗派



四大宗派

ニンマ派カギュ派サキャ派ゲルク派を、チベット仏教の四大宗派と呼ぶ。


§ ニンマ派- 「古翻訳派」の意。パドマサンバヴァを宗祖とし、古代王朝時代に導入されたタントラ群(ニンマ・カマ)と埋蔵教典(テルマ)に依拠する。


§ カギュ派マルパミラレパを宗祖とする。カギュ・カルマ派、ツェルパ・カギュ派、ディクン・カギュ派、ドゥク派、パクモドゥ派などの多数の支派に分かれている。


§ サキャ派元朝(げんちょう、元)の時代にはチベットに政権を確立し、サキャ・パンディータフビライ・ハーンの帝師(ていし。皇帝の先生)パクパが出た。



§ ゲルク派ツォンカパを宗祖とし、秘密集会(ひみつしゅうえ)タントラを重視している。ダライ・ラマ、パンチェン・ラマが属する。近世以降の最主流派。


§ カダム派アティーシャを中心とする運動。ゲルク派は、この宗派の後継者を自認する。(四大宗派のすべてに影響を与えた後、ゲルク派が新カダム派、ガンデン流として教団組織化した。現在この宗派は存在していない。)




その他

上記以外にも、シャンパ・カギュ派、シチェ派、チュウ派などの現在は独立した宗派としての組織を持たない伝統や、近年復興運動が起こっているジョナン派などが存在する。

また、ゲルク派の保守勢力の間で護法尊または怨霊とされるシュクデンの崇拝が行われており、彼らをさしてシュクデン派と呼ぶことがある。現在、シュクデン信仰はダライ・ラマ14世によって禁じられており、それによってシュクデン派はチベット仏教の主流派からは異端とみなされている。一方、シュクデン派はニュー・カダンパ・トラディション(国際カダム派仏教連合)ウェスタン・シュクデン・ソサエティーといった団体を結成し、チベット仏教主流派に対抗する活動を行っている。