チベット仏教 信仰形態



現在、大きく分けて4宗派が存在するが、いずれも顕教と密教の併修を柱とする点では共通し、宗派間の影響を及ぼしあって発展してきたこともあって、各宗派の信仰形態に極端な差異は無くなっている。





恐ろしい形相を表す忿怒尊(明王)や、男女の抱擁する姿を表す歓喜仏(かんぎぶつ、ヤブユム)が特徴的であり、これらがことさらクローズアップされがちであるが、他にも阿弥陀如来十一面観音文殊菩薩といった、大乗仏教圏では一般的な如来菩薩も盛んに信仰されている。 を中心に独自の発展を遂げた中国の仏教では廃れてしまった仏が、日本(特に奈良・平安系仏教)とチベットでは共通して信仰され続けているケースも多い。一方、最高位の仏としてチベットでは釈迦如来大日如来よりも、後期密教の特徴である本初仏(ほんしょぶつ)を主尊とする点が独特である。ターラー菩薩やパルデン・ラモ(忿怒形吉祥天)といった女神が盛んに信仰されることも特徴的である。



文化面では、タンカと呼ばれる仏画の掛軸や砂曼荼羅(すなまんだら)、楽器を用いた読経などが有名である。民間の信仰形態として特徴的なものは、マニ車(マニぐるま、マニコロ)タルチョー(経旗)、鳥葬(ちょうそう)などが挙げられる。また、観音菩薩真言である六字大明呪(ろくじだいみょうしゅ)が盛んに唱えられる。