大正新脩大蔵経(たいしょうしんしゅうだいぞうきょう)
大正新脩大藏經(たいしょうしんしゅうだいぞうきょう、大正一切経刊行会)は、大正13年(1924年)から昭和9年(1934年)の10年間をかけて、高麗海印寺本を底本として日本にある漢訳経典をすべて調査校合した、民間人の手による大蔵経(だいぞうきょう)である(通常は、国家事業である)。
プロデューサー(編纂責任者)は、高楠順次郎(たかくす じゅんじろう)・渡辺海旭(わたなべ かいきょく)・小野玄妙(おの げんみょう)の3名。当時の仏教関係の大学研究者が一致協力し、校訂作業に当たった。
現行版は、大蔵出版で、新たな学術研究の成果を踏まえた現代語訳の一部「新国訳大蔵経」も、1990年代から刊行中である。『国訳一切経』(こくやくいっさいきょう)は、大東出版社から「印度撰述部155巻」と「和漢撰述部100巻」が刊行されている。
17字詰29行3段組、各巻平均1,000ページになっている。正蔵(中国所伝)55巻、続蔵(日本撰述)30巻、別巻15巻(図像部12巻、昭和法宝総目録3巻)の全100巻から成り、漢訳の仏典の最高峰と呼ばれている。校訂不備多しとの批判はあるものの、世界における仏教界や仏教研究に寄与している。
仏教関係の著述の参考文献として大正蔵、大正と略されることが多い。また、仏教関係論文に、しばしば「Txx-yyyz」とあるのは、大正蔵経のxx巻のyyyページz段の略である。
日本撰述の仏典に関しては、主要なものだけであり、日本仏教を研究する場合には、別の文献を参照する必要がある。
大正新脩大藏經は、各図書館のリファレンスブックに指定されているので、主な図書館は所蔵している。
近年では、東京大学の『大正新脩大藏經』テキストデータベース(SAT)や台北の中華電子佛典協會(CBETA)といったプロジェクトが、大正藏の電子テキスト化を推進している。それらは、一定の制約内ではありながら自由に使用できる。