典座(てんぞ)



典座(てんぞ)は禅宗寺院の役職の一つ。禅宗寺院で修行僧食事祖師への供膳を司る。六知事(ろくちじ)の第五位。



一般に炊事係は「飯炊き」「裏方」などと呼ばれ低く見られがちであるが、禅宗寺院では食事の調理、喫飯も重要な修行の一つとされ、また陰徳(いんとく。人知れず徳行を積むこと)を行ずる立場であることから重要な役職とされる。修行経験が深く篤実温厚な人物が任命される場合が多く、修行僧たちの相談役として敬慕される者が多いという。

曹洞宗では開祖道元が求法(ぐほう)のためで修行した際、二人の老典座との出会いからの修行の本質を悟ったという故事から特に尊重され、道元は『典座教訓』という書籍を執筆したほどである。