門跡(もんせき、もんぜき)



門跡(もんせき、もんぜき)は、皇族貴族が住職を務める特定の寺院、あるいはその住職のことである。寺格(じかく)の一つ。元来は、日本の仏教開祖の正式な後継者のことで「門葉門流」の意であった(この場合は門主とも)。鎌倉時代以降は位階(いかい)の高い寺院そのもの、つまり寺格を指すようになり、それらの寺院を門跡寺院と呼ぶようになった。


浄土宗知恩院(ちおんいん)門跡は浄土門主(もんす)という。

浄土真宗本願寺派本願寺住職門主(もんしゅ)、真宗大谷派僧侶及び門徒(もんと)の代表者は門首(もんしゅ)と書き、いずれも親鸞(しんらん)の子孫の大谷家から出ている。





沿革

宇多(うだ)天皇出家して仁和寺(にんなじ)に入室し御室御所と称し、御室門跡となったのが始まりである。鎌倉時代初期頃からは皇族摂家(せっけ)等の子弟が特定の寺院に出家するようになる。子弟らは荘園(しょうえん)を所有しておりその経済力を背景とした政治力をもって、受け入れた寺院内の支配権を掌握するようになり、各門流を継承するようになった。これらが慣例化してやがて、「門跡」自体が「貴族」出身者によって継承される特定の院家・寺院を指す称号へと変化した。

そして室町時代になると、寺格としての「門跡」が確立し、室町幕府には、門跡寺院に関する政務を執る門跡奉行が置かれた。さらに江戸幕府では、宮門跡(みやもんぜき)・摂家門跡(せっけもんぜき)・清華門跡(せいがもんぜき)・公方門跡(くぼうもんぜき)(武家門跡)・准門跡(じゅんもんぜき)(脇門跡)などに区分して制度化した。