仁王経(にんのうきょう)
仁王経(にんのうきょう)は、大乗仏教における経典のひとつ。「仁王般若経」とも称される。なお、この経典は仏教における国王のあり方について述べた経典であり、天部に分類される仁王(におう=二王:仁王尊)について述べた経典ではない。
内容
主な内容として、釈尊が舎衛国の波斯匿王(はしのくおう)との問答形式によって説かれた教典で、六波羅蜜のうちの般若波羅蜜を受持し、講説することで、災難を滅除し、国家が安泰となるとされる。
漢訳
鳩摩羅什(344年~413年)が漢訳した「仁王般若波羅蜜経」2巻と、不空(ふくう、705年~774年)が漢訳した「仁王護国般若波羅蜜経」2巻がある。
日本における歴史
日本にも古くから伝わり、仁王般若波羅蜜経は、法華経・金光明経(金光明最勝王経、こんこうみょうさいしょうおうきょう)とともに護国三部経のひとつに数えられ、鎮護国家のために仁王経を講ずる法会(仁王会=におうえ)や不動明王を中心とした仁王五方曼荼羅(仁王経曼荼羅ともいう)を本尊として修される仁王経法が行われた。仁王会は宮中や国分寺などの大寺で100の高座を設けて行われ、主に奈良時代から平安時代にかけて盛行し、「百座会」(ひゃくざえ)とも称された。