頂相(ちんぞう)



頂相ちんぞう、他にちんそうちょうそうとも)は、禅宗僧侶肖像画または彫刻のこと。師に当たる僧が弟子の僧侶に対して、印可状(いんかじょう)の一部として自賛の肖像を与えるところから、禅宗の普及と共に多く描かれた。彫刻の場合、禅院の開山となった高僧を偲ぶため、弟子筋の僧侶が作らせた物である。そのため、その寺にとっては本尊と同じくらい重要であり、本堂に安置されるか開山堂というその像を置くための特別な御堂(みどう)が造られた。絵画にしろ彫刻にしろ、頂相は禅僧にとって師の現身そのものであり、師僧の特徴を正確に捉えた、真に迫る造形に特色がある。彫刻の場合、頂相画に倣って法衣の裾を長く垂らして座る姿に表されるが、衣に包まれた体部は単純に表し、写実は面貌に集中する表現法が確立している。特に鎌倉時代から南北朝時代にかけては優品が作られ、多くは国宝重要文化財に指定されている。