法華経(ほけきょう、ほっけきょう)



法華経ほけきょうほっけきょうとも)は、大乗仏教経典「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ(saddharmapuNDariika-suutra、सद्धर्मपुण्डरीक सूत्र)」(「正しい教えである白い蓮の花」の意)の漢訳での総称。経の字をはずすと「法華」になるが、これは一般に「ほっけ」と発音する。

それぞれの意味はsad=「正しい」「不思議な」「優れた」など、dharma=「教え」「真理」、puNDariika=「因果倶時(いんがぐじ、原因と結果は必ず一致するという釈迦の言葉。)・清浄な白蓮華」、suutra=「仏の説いた経典」。




この経典に対する漢訳は十六種類が行われたとされるが、完訳が現存するのは『正法華経』(竺法護、じくほうご 訳、2世紀)、『妙法蓮華経』(鳩摩羅什訳、5世紀)、『添品(てんぼん)妙法蓮華経(闍那崛多(じゃなくった)・達磨笈多(だつまぎゅうた)共訳、7世紀)の三種である。漢訳仏典圏では、鳩摩羅什訳の『妙法蓮華経』が、「最も優れた翻訳」として、天台教学や多くの宗派の信仰上の所依として広く用いられており、「法華経」は「妙法蓮華経」の略称として用いられる場合もある。


天台宗、日蓮宗系の宗派には、『法華経』に対し『無量義経(むりょうぎきょう)を開経(かいきょう・法華三部経で、本経の前に読む経。)、『観普賢菩薩行法経』を結経(けっきょう、結びとなる要旨を述べた経典。)とする見方があり、法華三部経と呼ばれている。日本ではまた護国の経典とされ、『金光明経(こんこうみょうきょう)仁王経(におうきょう)と併せ護国三部経の一つとされた。


なお、鳩摩羅什訳『妙法蓮華経』観世音菩薩普門品第二十五は観音経として多くの宗派に普及している。また日蓮宗では、方便品第二、如来寿量品第十六、如来神力品第二十一をまとめて日蓮宗三品経と呼ぶ。