三世間(さんせけん)
三種世間ともいい、移ろいゆくこの世の現象世界、つまり世間を3種類に分類したもの。これらの境界が、いわゆる物質的なものを含めて、環境一般をも意味するようになると、以下の三世間が説かれる。
大智度論では、以下の名称で説かれている。
1 仮名世間(けみょう)とは、衆生世間ともいい、生命のあるもの
2 国土世間(こくど)とは、山河大地など
3 五蘊世間(ごうん)とは、人間を構成し、世界を構成している構成要素をいう。これらも五蘊(ごうん)が色受想行識であることから考えると、単なる物質的要素でなく、精神的なものを主としている。
華厳経疏では、以下の3種類を立てるが、3つめは大智度論とは異なる。
4 衆生世間(しゅじょう)、智度論の仮名世間と同じ
5 器世間(うつわ)、智度論の国土世間と同じ
6 智正覚世間(ちしょうかく)、仏の世界
なお、サーンキヤ学派では、以下の3種類を立てる。
7 天上
8 人間
9 獣道