聖観音(しょうかんのん)


聖観音(しょうかんのん)、梵名アーリヤ・アヴァローキテーシュヴァラ (आर्यावलोकितेश्वर [aarya avalokitezvara]) は、仏教における信仰対象である菩薩の一尊。




「正観音」ともいい、六観音の一つでもある。観音菩薩(観世音菩薩、観自在菩薩)像には、さまざまな形態のものがあるが、このうち、多面多臂などの超人間的な姿ではない、1面2臂の像を指して観音と称している。観音と書くこともある。大慈の観音として、六観音の役割では地獄道を化益(けやく)するという。もともとは「正法妙如来(しょうほうみょうにょらい)」という仏であったが、衆生救済のため人間界に近い菩薩の身となった。

三昧耶形は初割蓮華(綻び始めたハスの花)。種子(種字)はサ(sa)、キリーク(hriiH)など。

真言は「オン アロリキャ ソワカ」

縁日は毎月18日であるが、特に7月10日は四万六千日と言われる




像容と持物

観音像には十一面観音千手観音如意輪観音など、多面多臂の変化(へんげ)観音と、こうした超人間的な姿ではない、1面2臂の観音像とがあり、後者を指して「聖観音」または「正観音」と称する。密教では聖観音、十一面観音、千手観音、如意輪観音、馬頭観音胝(じゅんていかんのん)(または准胝観音に代えて不空羂索観音)を「六観音」と称している。

聖観音の像容は、前述のように1面2臂の菩薩形で、持物(じもつ)は左手に蓮華を持つのが一般的だが、必ずしも一定していない。観音像の標識としてもっとも見分けやすいものは、頭上、頭髪部の正面に化仏(けぶつ)と称する阿弥陀如来の小像を置くことで、この点は千手観音など他の観音像にも共通した特色である。