六観音(ろくかんのん・ろっかんのん)



真言系では聖観音(しょうかんのん)十一面観音(じゅういちめんかんのん)千手観音(せんじゅかんのん)馬頭観音(ばとうかんのん)如意輪観音(にょいりんかんのん)准胝観音(じゅんでいかんのん)を六観音と称し、天台系では准胝観音の代わりに不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)を加えて六観音とする。六観音は六道輪廻(ろくどうりんね、あらゆる生命は6種の世界に生まれ変わりを繰り返すとする)の思想に基づき、六種の観音が六道に迷う衆生を救うという考えから生まれたもので、地獄道-聖観音、餓鬼道-千手観音、畜生道-馬頭観音、修羅道-十一面観音、人道-准胝観音、天道-如意輪観音という組み合わせになっている。



なお、千手観音は経典においては千本の手を有し、それぞれの手に一眼をもつとされているが、実際に千本の手を表現することは造形上困難であるために、唐招提寺金堂像などわずかな例外を除いて、42本の手で「千手」を表す像が多い。観世音菩薩が千の手を得た謂われとしては、伽梵達摩(がぼんだつま、がぼんだるま)訳『千手千眼觀世音菩薩廣大圓滿無礙大悲心陀羅尼經』(せんじゅせんがんかんぜおんぼさつこうだいえんまんむげだいひしんだらにきょう)がある。この経の最後に置かれた大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)は現在でも中国や日本の禅宗寺院で読誦されている。