兜率天(とそつてん)



兜率天(とそつてん、Skt: तुषित Tuṣita)は、欲界における六欲天の第4の天部である。兜卒天、都率天などとも書き、覩史多天(としたてん)、兜率陀天(とそつだてん)などともいう。


須弥山(しゅみせん)の頂上、12由旬(ゆじゅん、仏教では1由旬は7.2kmとされる)の処にある天部にして、七宝宮殿があり、無量の諸天が住している。これに内外の二院がある。外院は天衆の欲楽処にして、内院を弥勒菩薩(みろくぼさつ)浄土兜率浄土とする。弥勒はここに在して説法し閻浮提(えんぶだい)に下生成仏する時の来るのを待っている。

この天は下部の四天王(してんのう)忉利天(とうりてん)夜摩天(やまてん)の3つの天が欲情に沈み、また反対に上部の化楽天(けらくてん)他化自在天(たけじざいてん)の2天に浮逸の心が多いのに対して、沈に非ず、浮に非ず、色・声・香・味・触の五欲の楽において喜足の心を生ずるから弥勒などの「補処の菩薩」の止住する処となるという。

しかして、天人の身長は2里、衣重は一銖半、寿命は4000歳であるという。但し、人間の400年をこの天の1日1夜とする。