永代供養(えいたいくよう)


永代供養(えいたいくよう)とは、数世代にわたる比較的長期の年月をかけて、死者供養する行為を指す。

本来は、子々孫々の代まで先祖を祀り供養する宗教行為を指していたが、現代では多くが墓園業者や寺院の営業用語として使われることが多い。広告に永代供養を謳うものが多いが、「永代」という言葉の使用による誤解からトラブルが発生するおそれが多い。実際には10回忌、30回忌や50回忌までといった内規がある場合や、を継承すべき子孫が改宗などで檀家を辞めるなどして信仰を離れた場合は、永代供養の契約が破棄されることが定められている場合が多く、言葉どおりの「永代」ではない。また、霊園の倒産、寺院の廃寺などにより墓が消滅に追い込まれることもあり、この「永代」も保証されるわけではない。



起源

江戸時代檀家の減少による収入減を補う目的で僧侶が発案した商業手法であり、本来は毎月の命日に小額ずつ受け取っていたお布施をまとめて集金する当時の画期的な新システムであった。江戸時代には、お布施を当時最新のビジネスであった先物取引への投資や、貸金業を僧侶たちが営む際の原資とした寺院も数多く存在した。現在の永代供養もその名残である。



最近の傾向

近年、少子高齢化の進行により、生前より永代供養を希望する中高年が増えている。墓や信仰を継承する子孫がおらず、死後の供養が期待できない人のために、その遺骨や位牌を境内の共同墓地に合祀し、寺院の存続する限り僧侶が定期的に共同墓地を保守管理することを永代供養と定義する寺院もある。無縁社会という言葉が流行語となり、年間32000人(2010年)が無縁死(むえんし)するといわれる無縁社会にあって、無縁ビジネスのひとつである永代供養ビジネスもにわかに活況を帯びてきている。