風葬(ふうそう)


風葬(ふうそう)は、遺体を風にさらし風化を待つ葬制洞窟、樹上で行われることもある。日本ではかつて沖縄奄美などで見られたが、現在は行われていない。



インドネシアの風葬

スラウェシ島高地部に住むトラジャ族の葬送は大規模かつ派手な葬祭で知られるが、伝統的な葬送では岩壁に横穴を穿ったリアン(liang)と呼ばれる墓に葬られる。ただし現代ではキリスト教化が急速に進んでおり、アルック・ド・トロ(aluk to dolo)と言われる伝統の信仰をそのまま伝える信者が少なくなるにつれ、風葬は廃れていくのではないかと見られる。葬祭そのものはインドネシア政府による後押し、観光化もあり現在でも盛んである。リアン(liang)墓は岩山の高さ10 - 数十mに及ぶ場所に横穴を穿って作られ、副葬品であるタウタウ(tau tau)人形も遺体と一緒に置かれることが多い。その後は遺体が自然に解体されるのを待つ。



ボルネオ島の一地方に居住するイバン族の大多数は土葬で葬られるが、一部の者に対しては例外的にルンボン(lumbong)葬という台上の棺に葬られる形のものが用いられる。これは英雄などの軍事的指導者に対するもので、この形式で葬られた者は「死霊」と呼ばれず「神(petara)に成った」とされる。イバン族は普通の葬儀の際、死を別離と見なし、死者との訣別の意を儀式で表すが、ルンボン葬の際には逆の心理が認められる。それは人格(といったもの)を保ち、栄光化して守護を期待するもので、神話によれば最初のルンボン葬は伝説の英雄クリェンが、彼の父の為に行ったことに始まるとされる。台上葬の遺体は場合によっては長期間肉体を留め、また英雄の強靱な肉体にあやかろうと闘鶏ついばませることもある。