仏舎利塔(ぶっしゃりとう)
仏舎利塔(ぶっしゃりとう)とは、仏舎利(釈迦の遺骨)を納めるとされる仏塔(ぶっとう)。一般に仏塔の原型であるインドの「ストゥーパ」の様式をそのまま模して建てられた仏教建築物である。
ドーム状の構造物の上に相輪(そうりん)をもつ。日本では近代になって建てられたものも多い。また本来の舎利を祀るだけでなく、太平洋戦争でなくなった英霊(えいれい)を祀る仏舎利塔もある。
中国
中国では「仏舎利塔」のことを「覆鉢(ふくばち)式塔」と呼ぶ。チベット仏教の仏塔である。覆鉢式塔のつくりはストゥーパのつくりと基本的に同じで、南北朝時代の雲岡石窟(うんこうせっくつ)の中にすでに覆鉢式塔の造形が見られた。早い時期にチベットに伝わり、チベットから各地に広まった。
ストゥーパは、やがて中国で宝塔(ほうとう)として形を変えていくが、元の時代に入るとチベット仏教が盛んになり、再び、インドのストゥーパが中国に入ってきた。そして、漢民族の住む地区にも建てられるようになった。
覆鉢式塔は崇拝のために使われる。中には舎利(遺骨)が収められ、また、高僧の墓としても使われる。覆鉢式塔の中は空洞になっていない。大きさは大小まちまちである。中国に現存するもっとも大きい覆鉢式塔は元の時代に立てられた北京の妙慶寺(白塔寺)の白塔である。これ以外にも北海公園の永安寺白塔などがある。
日本
日本の仏舎利塔は、飛鳥時代の法興寺(ほうこうじ、飛鳥寺の異称)・法隆寺・四天王寺のように、古くは木造の五重塔や三重塔として建造される例が多かったが、近代になると戦後の平和を願うなどの目的で熊本市の花岡山(はなおかやま)、北海道釧路市の日本山妙法寺、静岡県御殿場市の平和公園、富山県高岡市の鉢伏山(はちぶせやま)などに仏舎利塔が建造された。日本の仏舎利塔にはほとんど仏舎利は納められておらず、代わりに経典や宝石が納められているのが普通であるが、仏舎利を納めたとされるものも決して稀ではない。