舞踏会が終わった後――。
部屋に戻って来てからバルコニーでぼんやり星を眺めていると、不意に後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「っ、アレク」
「おー。寒くねえのかお前」
「うん…大丈夫」
頷き答えると、アレクが抱き締める腕の力を緩めて言う。
「なぁ…こっち向いて手ぇ出せ」
「手…?どうして?」
「いいから早くしろ」
そう急かされて、首を傾げつつ体を反転させて
アレクと向き合うと、手を差し出す。
するとアレクが私の手を取って、小さな箱から取り出した何かを私の指にすっと嵌めた。
「っ、これ…」
それは、真っ赤なルビーの指輪だった。
驚いて顔をあげると、アレクが優しく笑って言う。
「もうすぐ俺らが出会って3年だろ。また忙しくなる前に渡してーと思って」
(覚えててくれたんだ…)
思いがけないサプライズが嬉しくて、私は思わず顔を綻ばせた。
「ありがとうアレク…すごく嬉しい」
「おー」
アレクがいつもの調子で答えてから、ふと思いついたように口を開く。
「そーいやお前、ルビーの宝石言葉って知ってるか」
「宝石言葉…?確か『勇気』だったっけ…」
「おー、一つはそれだ。それからもう一つが…」
言いながらアレクが指輪を嵌めた私の手を取って、そっとキスを落とした。
「…っ」
「『純愛』って意味があるんだ。だからお前に贈りたいと思った」
「アレク…」
そして、アレクが真剣な表情で私を真っ直ぐ見つめて言う。
「改めて言わせろ。お前と出会ってから…俺はお前の勇気とか優しさに何回も救われてきた。お前が側にいると、両家の対立をなくすとかそういうの、不可能じゃねえって思えるんだよ。俺がお前を選ぶことを許してくれて、側にいてくれて…ありがとな」
アレクの真っ直ぐな言葉に思わず涙が零れる。
そんな私の頬をアレクがそっと包んで、優しく笑いながら涙を拭ってくれた。
「だから…お前はこれからもずっと俺に奪われてろ。3年目もその先も、一生愛してやる」
「うん…!」
アレクの言葉に、私はしっかりと頷いた。
視線がぶつかるとどちらからともなく顔を寄せ合って、星空の下で私たちはそっと甘いキスを交わす。
(私も…アレクのこと、ずっと愛してるよ…)
何度も重なる唇を受け止めながら、私はそっと胸の内で呟いた――。
--------end--------
-あとがき-
連投失礼します~
こちらも三周年カウントダウン企画で書かせて頂いたものです!
一部加筆しています。
9日前、アレク担当でした。
実はCD企画SSにするにあたって文字数が多すぎて…宝石言葉のネタや台詞をだいぶカットして(それでも多かった)載せたので、これが原案です。笑
カウントダウン企画ではたくさんの方に読んで頂けて嬉しかったな٩(*´꒳`*)۶
ちゃな。